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選択と集中
先日、昔からのお客様から電話をいただきました。
「これまで大衆店や高級店などいくつものレストランを経営してきたが、大衆店は競争が激しくて利益が取りにくい。似たようなお店が安値攻勢をかけてくる。7年かけて試行錯誤してきた結果、高級店舗に重心を置くことにしました」
利益確保という点からも高級店のほうがやりやすいのだそうです。少々、疲れを感じさせたその方の話に、私は大衆店舗の競争の厳しさを感じました。いくら努力しても価格がすべて。せっかく親しくしてくれたお客様でも、ある日突然、安いお店に奪われてしまう空しさと寂しさ。外食レストランとして努力すればするほど、お金以外の「なにか」も評価してもらいたいと期待するのが、人間として自然な気持ちです。そのような期待が、価格優先の大衆店の場合、簡単に裏切られるのかもしれません。
ひるがえって高級店の場合、来店客は「この店は高くても、それにふさわしいだけの価値がある」と評価してもらっているので、経営努力のしがいがあります。店の努力や価値が、来店客にすでに理解してもらえているからです。店員の笑顔、注文対応の早さ、食材の質、味付け、清潔さ、快適さ、季節感を楽しませてくれるメニュー、気配りの効いた接客。評価基準が同じなので、努力目標が明確になります。
なにが「高級」か--そのことさえ十分に理解していれば、敢えて大衆店に目を向ける必要はなく、価値を理解してくれる眼を持った来店客を取りこぼさない経営を徹底させればいいのです。
日本で学んだ経営用語があります。「選択と集中」です。以前、ソニーの出井社長が社内改革を推進する際に使った標語です。私は、この理念が好きです。自身の戦略に自信が持てないと、市場を広げようとします。保険をかける意味で、市場を絞り込まないのです。大げさに言えば「あれもこれも」です。でも、それが経営資源を分散させん、効率を低下させます。
上記のお客様は、高級店舗の開設にシンポの無煙ロースターを「選択」してくれました。高級店に「集中」するためです。シンポを選択した理由は言うまでもありません。
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